2003-2004  GRS
全日本ジュニア(2003/11/22-23 観戦) [2003/12/10]

出発直前まで忙しかったこともあり、出かけるのが非常に億劫だった。
「試合は見たい。でも移動したくない。新幹線に乗りたくない。
 会場が歩いて来てくれればいいのに。」ナンテコトを考えつつ、
出かけた。

京都駅に着いたのは13:20。13:30開始のコンパルソリーダンスは
既にあきらめていた。
13:50から女子SPなのでそれには間に合わせたい。
何しろ、SPは優勝候補が1番滑走になることもある。
抽選は22日の昼頃なので、出発前には滑走順はわからない。

去年のNHK杯と全日本で通ったので会場のアクアリーナへは
迷わず行ける。
しか〜し!乗り継ぎが悪い。
13:20に新幹線が京都に到着し、13:28の地下鉄に乗る。
2駅で降り、私鉄に乗り換える。
そこからアクアリーナのある西京極までは3駅なのだが本数が少ない。
ここで10分弱待つことになってしまった。
どう考えても競技開始に間に合わない。
駅に着いて、近道をして、小走りに会場に急ぐ。
客席についたと同時に「1番、澤田亜紀さん」のアナウンス。
「ぎゃぁ〜、1番滑走から有力選手が!」と「とにかく間に合った」が
入り交じって、混乱した状態での観戦開始となった。
そして、混乱したまま大会を終えることになるとは予想していなかった。

女子のSPが終わり、男子の試合開始。
着々と試合は進む。
そして第3グループ。このグループには柴田嶺選手がいた。
6分間練習が始まった。
柴田くんは、3アクセルを入れるようで、ずっとその練習ばかりだった。
私が見た限りでは一度も成功していなかった。

何人かの選手が演技を終え、柴田くんがリンクで足慣らしを始める。
前のスケーターのために投げ込まれた花束の重しに使われていた
オアシスが砕けて氷上に散らばっている。
だが、それにも気づかないほど集中を高めていたように感じられた。

そのままでは危険なので、リンクサイドから声がかかり、
砕けたオアシスを柴田くんが拾い始めた。
拾い終わり、名前がコールされ、スタート位置についた。
音楽がかかる。
踊り始めの部分は野辺山の時と同じ。
すぐにスピードを上げて3アクセル。転倒。立てない。
「転び方が6分間練習の時と違ってる?でも立って!続けて!」と
祈るような気持ちで見ていた。
しかし、立てない。演技に戻ることができない。
音楽も止まってしまった。
ちょうど、柴田くんが転倒した場所の近くにいたスケート連盟の
役員の方が声をかけて、リンクの外に出るよう促す。
何とか立ち上がり、一番近い出口からリンクサイドに出る。
トレーナーの方が診察のために走る。
須貝コーチも走っていった。
私も走って行きたかった。
会場がざわつく。まわりからは「足、つったのかな?」と
不安そうな声が聞こえてくる。
間もなく、役員の方が手で×印を出した。
「え?ダメ??」
「かわいそう〜。だってこの人、優勝も狙えるんでしょ?」と
あちこちから聞こえてくる。
会場にアナウンスが流れた。
「右足首のねん挫のため棄権します。」
アナウンスを聞いた時の正直な感想は「ねん挫でまだ良かった。
骨折とかじゃなくて良かった。」だった。

次の選手が演技が始まった。
音楽が流れるなか、柴田くんはおぶわれてリンクサイドから去った。
顔は伏せたままだった。
「選手の演技を見なくては」と思いつつ、目が離せなかった。
その後も演技を見ようとするのだが、心ここにあらず。
製氷を挟んで全選手の演技を見たのだが、まさに「見ただけ」。
男子SPをノーミスで終えた選手が皆無ということだけが記憶に残った。

そして、混乱していた。
柴田くんの転倒と棄権は目の前で見ていたのだし、否定のしようがない。
何が起こったのかはわかる。だが、それによって何が引き起こされるのか、
しばらく考えることができずにいた。
「柴田くんは翌日のフリーを滑れない。私はフリーを見れない。」と
きちんと把握できたのは、全男子選手のSPが終わってからだったと思う。

それにもかかわらず「織田くんや前川くんは前回の試合と比較できるのに、
どうして柴田くんのはできないんだろう?あれ?」と、ずっと思っていた。
1つ1つの出来事を理解することはできていても、それを順序だてて
論理的に組み立てていくことが全くできなくなっていた。

その後の全日本、MOI、世界ジュニアの可能性がなくなったこと、
来年の全日本ジュニアのシード権を失ったことを理解できたのは、
全日本ジュニアの全日程が終わってからだったかもしれない。
完全に思考が停止していた。

23日に、柴田くん、須貝先生とお会いしてお話を伺うまでは、
気が気ではなかった。
ケガの状態を知り、本人の表情を見てようやくホッとした。
12月中旬に北海道内のインターハイがあるらしいけど、
無理はしないでしっかり治してね、柴田くん。 

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